7月10日と11日、「PTSDへのゲシュタルトによる対応」という、セラピスト(カウンセラー)対象のワークショップに参加しました。
*PTSDはトラウマ(対処できないほどの衝撃を受けたときの心の傷)を体験した結果生じるストレス障害。
ファシリテーターは、臨床心理学者でイスラエルのゲシュタルト協会会長のタリア博士。
セラピストとして、クライアントに絶対に言ってはならない言葉を、彼女が真剣な顔で伝えていたのが印象に残っています。
その言葉は……「あなたのことがわかる」です。
そうですね。ひとりひとりの生きてきた歴史は、まったく違いますね。
性別も育ってきた環境も、その環境の中で受けた影響も、だれひとりとして同じことなどありえません。
「私はあなたのことがわからない」「わかりたいから教えてください」の気持ちを決して忘れないように、私はこれからもカウンセリングを続けていきます。
もちろん、ゲシュタルトにかかわる人間として、相手のありのままの存在をそのまま受け止め、温かく見守ることも忘れずに。
さて、私は約30人のセラピストの前でデモンストレーションとして、タリアのワークを受ける幸運を手にしました。
日本で主流の【エンプティチェアを使ったワーク】ではなく、セラピストとクライアントの間で起こる心の流れに深く入っていく【関係対話療法】は、まさに「今、ここで起きていること」を体験できた貴重な時間。
言葉としての対話はあまりなかったのですが、その時間はまるで、私がものごころついたときからその瞬間までの心の葛藤がゆっくりと、でも、ものすごい速さで流れていくようでした。
「私は見ているしかできない」
それが、ずっと持ち続けていた怖さとあきらめでした。
喧嘩している両親の中に入れなかった自分。
虐待されている子どもを守れなかった自分。
過去が映画のフィルムのように次々に頭の中に映し出されながら、目の前にいるタリアに向かって「私はどうありたいか」を感じ、彼女に一歩一歩近づいて隣に座りました。
「やっと自分の意思でできた」と思ったとき、新たな自分に出会えた喜びが胸に広がりました。
きっとこの先、私のカウンセリングスタイルが変わっていくのだろうとも感じています。
ワークを受けた後のこれからの人生。人として、カウンセラーとして私はどんな変化をしていくのかと思うと、胸がきゅっとなります。
もし、きゅっとした胸がしゃべれるとしたら……
「あなたがやりたいと思ったら、遠慮しなくてもいいんだよ」かな。温かくていごこちがよい、なんとも言えない感覚が体中に広がっています。
購入した彼女の著書にサインしてくださった内容を、みなさんにも贈りたいので記しておきますね。
Keep near the people that worth your presence.
You are a wonderful human.
あなたの在り方にとって、価値ある人たちのそばにいて。
あなたはすばらしい人。
「すばらしい女性」ではなく、「すばらしい人」の一言が、何よりも私はうれしかったです。