私は家で仕事をするので、休日は自然の中に出かけたくなります。
水芭蕉が見頃だと聞いて、昨日はカウンセリングルームから車で40分ほどにある「高山市民の森」に足を運びました。
森は整備された部分もあり、駐車場から頂上まで歩いて30分で到着するので、散歩感覚で歩けるのが魅力的。散歩中は、ニホンカモシカ、蝶々、マルハナバチ、トカゲに遭遇しました。
ニホンカモシカ、ど~こだ?
ヘビは苦手ですが、トカゲはどことなくユーモラスで好き。全長が人差し指くらいのちびっこトカゲは、特にかわいいなと思います。
歩きながらトカゲを見つけるたびに触ってみたい衝動にかられ、そっと手を近づけると、トカゲはサッと逃げたり、急にフリーズを繰り返します。
身体を固めたトカゲは周囲の草や木の枝と見分けがつかなくなって、一瞬で見失ってしまうほど。
いない……
「あれ?どこに行ったのかな?」と思った瞬間、カサカサッと動き出すので、まるで鬼ごっこみたいでした。トカゲにしてみたら必死ですよね。ちょっとかわいそうなことをしちゃったかな。
さらに歩くと、またまたトカゲに遭遇。なんとミミズをくわえていました。
捕獲されたばかりのミミズはまだ動いていて気の毒でしたが、トカゲも生きるために一生懸命なのでしょう。
生きることは、食べること。
野生の生き物は、エサ探しに1日の大半を費やすと本で読んだことがあります。もしかするとこのトカゲもまた、いつか鳥に食べられるのかもしれない。
獲物をくわえたままピクリとも動かないトカゲを見つめていると、悲しいような愛しいようななんとも言えない感覚が私の胸のあたりに広がりました。
生きることは貴い。
そして、とても切ないんだなって。
森の中にいる間中聞こえていた鳥たちのさえずりは、子孫を残すためにメスに呼びかけたり、自分を脅かす相手を威嚇したりするため。
まだ枯れ葉がたくさんついている木があれば、全体がもわっとして見えるほど芽吹いている木もあり、それぞれの特性やペースで呼吸をしている。
切り株にも小さな命
ふと、私が山や森を好きなのは、たくましくて儚い“命”を感じられるからかもしれないと思いました。
それは、私の仕事においても同じかもしれません。
クライアントさんたちの深い悩みを聴かせていただくと、ときには私自身も苦しくなりますし、なんて大変な仕事を選んでしまったんだ……と思うこともあります。
それでも私は、クライアントさんたちが不安や怒りを感じ、嫉妬やねたみを口にし、自分ではどうにもならない出来事に涙がこぼれる姿に接するたびに、真剣に生きていることに心を打たれ、“貴い命”に出会ったように感じるのです。
追記
頂上にデン!と構えていた桜
遠くからはわかりませんでしたが、近づくとうなだれた茶色の葉が目立ちました。樹の周囲にロープが張りめぐらされていたのは、養生のためだったのか……。
ゆっくりでいいから、生きる力を取り戻せますように。