DVと聞くと、なぜか特別な人たちの世界だけで起こるものだと思っていませんか?
実はDVって、とても身近にあるんですよ。
もしかすると、あなた自身もDVを受けているかもしれません。
今回は、DV関係にある人たちと健康的な愛情関係について解説していきます。
DVとは
DVは、親密な相手から受ける暴力のこと。夫婦間や一緒に暮らしている人の間で起こります。
暴力は殴るとか蹴るといったものだけでなく、精神的な苦痛をあびせることも暴力。ちなみに、精神的な暴力だけに焦点を当てるとモラハラになります。
また、DVの中でも、恋人同士の間で起こる暴力をデートDVといいます。デート中に起こる暴力というよりも、ふたりの関係において、さまざまな場面で起こる苦痛を思い浮かべてみてください。
恋人同士の間では、苦痛だけでなく幸せな気持ちになることもあるでしょう。
苦痛と幸せな気持ちは交互にやってくるので、自分がデートDVを受けていることなど、頭の中をかすめもしないかもしれません。
でも、少しだけ冷静に今の状況をとらえてみませんか?
ここからは、DV関係にある人たちと、DV関係でない人たちとの違いを説明するので、あてはまるかどうかを確かめてみてくださいね。
健康的な夫婦や恋人の関係
健康的な関係にある人たちには、愛情が行ったり来たりと、必ず相互間でやりとりができています。
この図が愛情の循環。
そして、その中心にあるものは尊重です。
相手を大切に思う気持ちがあれば、相手の言いたいことを受け入れたり、違うと思う点について話し合いができたりできますね。
この「話し合いができる関係かどうか」が、パートナー同士で幸せを感じるカギなんですよ。
幸せはどちらか一方が感じるだけではないことを、ぜひ心にとめておいてください。
健康的な関係に対して、とても不健康なのがDVのあるゆがんだ関係。
それはどんなものか、さっそく図で確かめてみましょう。
DV関係にあるゆがんだ関係
*この記事では、DVをする側を男性、受ける側を女性と仮定してありますが、反対のケースもあります。
ゆがんだ関係では、DVをする側が身体的・精神的な暴力とやさしさを交互に相手に与えます。
そして、その中心にあるものが支配とコントロール。
健康的な関係とちがって、やじるしが一方的なことに気がつきましたか?
この状態になると、お互いを思いやる愛情の循環ではないですね。やさしさが支配のための手段になっています。
受け取る側は、どこかおかしい……と思いながらも、一生懸命に愛情と暴力を受け止めようとします。
そのために、DVを受けた人はこんなことを口にするのです。
DVを受けた人が口にする言葉
DVを受けている人は、自分は何も悪いことをしていないのに罪悪感を抱いてしまいます。
かつての私は、まさにそんな状態でした。
なにも悪いことなどしていないのに、「もしかすると私が悪いのかもしれない……」と思ってしまうのです。
あなたも、自分を責めてしまう言葉を心の中で繰り返していませんか?
これは、相手から「オレの気持ちを優先してくれないオマエが悪いんだよ」というメッセージを、言葉や態度で何度も浴びせられることで、自分を大切にする気持ちがなくなってしまうからです。
もしかするとあなたは、キレる相手が怖くなって、苦痛を感じる時間が通り過ぎればいいと思ううちに、自分を責めてしまう状態なのかもしれません。
自分を大切に思う気持ちは、自尊心。人が生きていくうえで最も大事な気持ちです。
あなたは、誰にも支配されないし、自分らしく振る舞う権利もあるんですよ。
愛とDVによる支配は別物
自分の気持ちや考え方を大切にできなくなると、とても苦しくなります。
「好きだよ」「愛してるよ」と相手から愛の言葉を受け取りながらも、実際は苦しい気持ちになるようでしたら、それは、愛ではなくて支配されているのだと思ってください。
苦しい気持ちは、あなたに重要なことを伝えているのです。
もしも、あなたが自分らしく自然体でいられなければ、その相手と少し距離を置くことから始めてみてくださいね。
のぼせ状態と本当の愛情
多くの人は、わくわく感やドキドキ感を感じながら、相手を追いかけたり追いかけられたりすることが恋愛だと思います。
恋は、それでもいいでしょう。恋愛の初期はのぼせることも楽しさにつながりますから。でも愛は、まったく違う状態だと私は思っています。
愛は感じるもの。
愛は、長く続くおだやかな幸福感と安心感ではないでしょうか?
自分が自分らしくいられて、たとえ相手と離れていても、いつもおだやかな気持ちが心の中にある状態。
あなたはどうですか?
もしもDVを受けていると、安心感も幸福感も長くは続きません。
それどころか、混乱やパニックが起こりますし、自分のことよりも相手を怒らせないためにはどうしたらいいかを中心に生きるようになってしまいます。
あなたの人生を取り戻して
DVを受けている人は、自分の感情や自分の考えよりも相手の感情や相手の考えを優先していると思います。
あなたが自分の人生を取り戻すためには、自分がどう感じるのか、自分はどう考えるのかを大切にしてください。
どんな小さなことでもいいです。
そして、あなたの話を否定することなく聞いてくれる人たちとつながってください。
愛は、「何かを買ってしてくれるから」「言うことを聞いてくれるから」といった、条件つきの関係では生まれません。
失敗しても、たまに不機嫌になっても落ち込んでも、そんなあなたでOKなんだよと、そっとあなたを包み込んでくれる相手が本物の愛情をあなたに注いでくれるのです。
DV加害者の言葉の裏にあるメッセージを、ぜひ読み取ってください。