今回はDV(ドメスティックバイオレンス)と私の経験を交えたお話です。
DVとは
DVとは、「ゆがんだ愛情」で身近な相手をコントロールすること。
コントロールの方法として、身体的な暴力だけでなく、言葉や態度で相手に精神的な苦痛を与えます。
恋人同士や夫婦であったら、お互いに愛情に満ちたやり取りができているはずですね。相手を思いやるとかいたわる行動をとることで親密さが増していくのが健康的な愛情です。
DV加害者の思考
ところがDVの加害者は、「自分が正しい」「相手が悪い」という考えがあるため、自分の行動を正当化して暴力そのものを否定します。(言葉による精神的な苦痛を与えるのもDVの一部)
自分がこんなことをするのは、相手が悪いのだから暴力的な態度をとって当然なんだと思うのです。
またその考え方は当人が意識していないことも多いので、加害者はDVをしている実感がないことも少なくありません。
DV加害者の所有意識と私の経験
その考え方の根底には、相手は自分のものだという【所有意識】があります。
「ミカのものはボクのもの」
この言葉は、かつて私がDVを受けていたときに何度も聞いた言葉です。
今となっては「えっ、何寝ぼけたこと言ってるの?」と相手を一蹴できますが、当時は「そうなんだ…」「これが愛なんだ…」と思っていたので、相手の世界にずっぽりとはまっていました。
当時の会話
私が考えていることに対して
彼「そうじゃないよね」
→えっ、だったら私の考えたことは一体何?誰の考えなんだろう……。
私がやりたくないことに対して
彼「なぜやらないんだ!」
→私の意見を言ってはいけないんだ……。
私ができないことに対して
彼「できないのはおかしい!!」
→できない私はダメな人間なんだ……。
こんな感じで自分の感じ方や考え方に自信がなくなっていきました。
反論すると相手が怒り出し、納得するまで執拗に「そうじゃないよね」「それは違うでしょ」とくりかえされたので、頭の中は混乱して正にパニック状態。
何も言わない方がいい、何も感じない方がいいと思い、ロボットのように感情がなくなっていったことが思い出されます。人には、つらい状況を受け入れないことで心の均衡を保つ防衛本能があるのです。
でもそれは、自分の人生を生きることではありませんよね。
私の考え。私の行動。私の気持ち。
今ではとても大切にしているこれらのことが当時は何もわからず、自分が何者かもわからず、消えてしまいたいと何度も思ったものです。
本当の愛情って何?
そんなDVの嵐から抜け出したのは、自分の人生を生きたいとぼんやり思い始めたことから始まりました。
そして、本当の愛情って何だろう?と何度も何度も自問自答してみました。
「ボクの言うことを聞くミカを愛している」のではなく、「私が私らしくいても愛している」と言ってくれることが私の欲しい愛情。
これが私の答えでした。
彼から離れたあとは、恋愛そのものに自信もなくなっていましたが、きっとこんな私でもステキだよと言ってくれる人がいるだろうと思いながら過ごした日々が懐かしいです。
心穏やかな愛情
頬に冷たい風が当たる晩秋の海岸で、水平線にゆっくりと沈んでいくオレンジ色の太陽をパートナーと見つめながら「今日も終わりだね、また季節が変わったら見にこよう」と、たわいもない約束をしました。
お金はかからないけれど、私にとってはとても贅沢な時間。移ろう季節ををともに過ごせる男性と出逢えたことで、暗かった私の人生が明るくて楽しいものとなりました。しかも私はどこまでも自由なんだと思うと、両手を思い切り伸ばして「しあわせ」とつぶやきたくなるのです。
ここに至るまでは、とても長い道のりでした。
私はこんなふうに、日常の場面でうれしい気持ちや悲しい気持ち、目に映るものや季節の匂いをゆっくりと共有する相手が何よりも欲しかったのだと思えることが、ただうれしい。
やはり満たされた心は、どんなにたくさんの服や装飾品を買っても、埋めることはできないのだと実感しています。
※恋愛依存症から抜け出したことにも、静かな自信がお腹の真ん中から湧いてきます。(私は恋愛依存症であると同時に共依存関係にもありました)
あなたはDVを受けていませんか?
もし、あなたが下記のリストにあることをひとつでも感じるのなら、暴力を受けていなくてもDV被害に遭っているサインです。
DV被害というと大げさに聞こえるかもしれません。ほかの言葉で表現するなら、自分らしくいることに罪悪感を感じてしまう状態が精神的な暴力を受けているサインです。
DV被害に遭っているサイン
ときどき彼が怖いと感じる。
ふたりの問題はぜんぶあなたの責任であると感じている。
彼といることで、あなたのやる気が低下したり落ち込んだりする。
彼とつきあってから友達と会う機会がなくなった。
自分に対する評価が低く、がんばらなきゃと無理をしている。
自分の思っていることを彼に自由に言えない。
彼があなたを殴るようなふりをして脅す。
リストにあげたことがひとつでも当てはまりましたか?
思い当たることがあれば、ご自身の心を見つめ直して、その相手から離れてみることをお勧めします。
ゆがんだ愛に囚われてしまわず、あなたが本当に望む愛情を手に入れることを私は願っています。
こころの底から呼吸ができる自由で対等な恋愛って、本当にステキですから。