今回は、電話カウンセリングで恋愛依存を克服された女性の声を紹介します。
この方は、10年近く付き合っていた彼に怒りを感じることが多く、彼に「依存が過ぎる」と言われてのご相談でした。アダルトチルドレンを克服したい気持ちも強くおありでした。
恋愛関係にしがみつくと相手は息苦しくなりますね。
とはいうものの、恋愛依存症においては、依存する本人がいちばん苦しいのではないでしょうか。
「どうして思ってもみなかった反応をしてしまうのだろう?」と自分を責める気持ちと、「相手を失うかも…」という不安や恐怖が同時に襲ってくる。
それだけで言葉にできないような気持になることでしょう。
加えて、恋愛相手にしがみついた結果として相手が離れていき、自分が自分でいることを見失ってしまう。これは相手と自分を喪失した状態です。
恋愛に依存した状態に愛想をつかし、今までよりそってくれていた友達が離れていく……。
こうなると、恋愛依存の苦しみは二重、三重の喪失感につながります。
今回のご相談の女性は幸いなことに、「どんなことがあっても、私はあなたが好きだよ」と言ってくれた友人の存在があることをカウンセリング中に再認識し、その存在が彼女を支えてくれたことに克服の要因があると感じました。
また克服には、ご本人の資質も大きくかかわっているのですが、どこが彼女の資質でどうやって恋愛依存症を克服したのか、最後のご相談の後で彼女が送ってくださったメールがあるので、そこから読み解いていきましょう。
*カウンセリングを終了されたご本人から、同じように悩む方へお伝えしたいと言ってくださいました。ありがとうございます。
アダルトチルドレンの克服をめざし、今度こそ自分を変えたいと決意した50代女性
ミカさんへ
先日の最後のカウンセリング、本当に楽しかったです。
最後の最後まで、私に優しさをくれて、私に寄り添ってくれて、今まで本当に、本当に!!ありがとうございました。
ミカさんの課題は、すべて私が納得できるもので、納得できるからこそ、スムーズに私の心に入ってくるものでした。
とても分かりやすい資料も送っていただき、電話でのカウンセリングでしたが、とてもイメージしやすく次回のカウンセリングまでの間に変わっていく自分を実感しながら、イメージトレーニングや、実践することができました。
自己否定型だった私が、自分を受け入れて、自信をつけることができたことが一番大きな変化でした。
毎日不安な気持ちで過ごしていたのに、今では朝起きると心も体も軽くって、生きるってこんなに楽なんだって、毎日がとても楽しいです。
人と接する事が怖かったけど、今はそんな感情もなく、みんなと仲良く過ごすことができています。
距離を置きたいと言われていた彼とも、今は、毎週末一緒にいて、彼の方から会いたいと言われるほどです。
彼との時間が、こんなにも穏やかで心地いいって、10年一緒にいて、初めて実感しました。
もちろん、たまには不安な気持ちにはなるけれど、ミカさんに教えてもらったことを実践して、気持ちの切り替えもうまくできるようになったのでとても楽になりました。
自分が理想としていた自分に近づいてきたと思います。
今の自分が、人生の中で一番好きです♪
ミカさんから離れることは寂しいし、不安ももちろんありますが、ミカさんに喜んでもらえることは、自分一人で前に進むことだと思っています。
またお世話になってしまうかもしれませんが、まずはここで、卒業させていただきます(*^^*)
ミカさんに教えていただいたことは、私の宝物です!
人は変わらないって言われるけれど、自分が変わりたいって強く思えば、人って変われると思いました。
ミカさんには、感謝しかありません。
本当にありがとうございました!!
幸せになります(*^^*)
カウンセリングは12回で終了でした。(回数は人によって多かったり少なかったりします。また、どのような状態をゴールにするかによっても回数はまちまちです)
こうしてメールを再度読み返すと、照れくさいです(^ ^;
彼女は、私(ミカさん)というカウンセラーによって変われたと思っておられるのですが、私が彼女の代わりになって行動することはできません。
依存の克服は彼女の行動の結果。私の提案を「やってみます」と選んで、コツコツと重ねてこられた結果だと思うのです。
この記事のはじめに、どこが恋愛依存症の克服ポイントか読み解いていきましょうとご提案しましたが、あなたはわかりましたか?
以下、変化/克服のポイントを挙げていきます。ご自身の答えと照らし合わせてみてくださいね。
恋愛依存症の克服ポイント
①イメージの力を利用する
次回のカウンセリングまでの間に変わっていく自分を実感しながら、イメージトレーニングや、実践することができました。
“イメージトレーニング” いいですね~。
私からは、彼女が今までやったことのないご提案をしました。「え~~~っ、そんなことはできないっ」となる前に、彼女の場合はイメトレ。できるかどうかはわからないと、恐る恐るではありましたが、イメトレ効果で行動につながりました。
私は普段からそんなに難しいご提案はしませんが、やったことのないことをやってみませんか?と言われると抵抗を感じることが多いと思うのです。私自身もやったことのないことへの抵抗はかなりある方ですし。
その抵抗を補うようにイメトレ。皆さんも、ぜひやってみてくださいね。
イメージって大事なんですよ。脳は現実と空想の区別がつかないと言われています。だから、イメージの力を借りて行動への抵抗を少なくすることは、理にかなった賢いやり方ですね。
②行動に移す力
とにかく彼女は行動力がおありでした。
恋愛の悩みにつながることだけでなく、あらゆる面において行動力があったことは、強いと思いました。
ご相談の終盤では、ご希望もあって対面カウンセリングを1度行ったのですが、地元の私よりも静岡のことを詳しく調べてこられ、カウンセリングの前後で静岡を堪能されてお帰りになりました。
脚の怪我もなんのその、安倍川餅を食べて帰りたいとのことで、お餅屋に寄り、その後は静岡駅まで歩いていかれました。(たぶん所要時間は30分)
行動力、半端ない。
*彼女の場合は行動力を活かせたのですが、誰にでも行動力があるとは限りませんね。人が持ち合わせる力はさまざまなので、自分に行動力がないと思う方も大丈夫ですよ。あなたには、他の力が必ずあります。
ところで、恋愛依存症の方の悩みは、今日にいたるまでに自分自身が
体験した【事実】
と
【その事実とペアになっている感情】
が主な原因です。
感情は、悲しい、つらい、苦しい、孤独、恥ずかしいなどの、再び感じることがためらわれるような負の感情。
実際の出来事にうまく対応できなかったこと。飲み込んでしまった言葉。また、そのときに感じた負の感情がセットになっています。
あまりにもつらい感情は、“無意識に心の奥底にしまい込む”というこころの働きがあります。
その働きを抑圧といいますが、過去の記憶とつながる出来事が起こると、その抑圧された感情が自分の意思に反して反応をしてしまうのです。
抑圧された記憶や感情が動くと、事実とは別に、自分の頭の中で悩みがふくらんでいくことも起こります。(多少語弊はありますが、妄想に近いとも言えます)
そして、頭の中で考えるマイナス思考が、身体の反応としても表れる。(動悸、息切れ、胸の重苦しい感じ、頭をしめつけられるような感覚など)
そのような心的事実を書き換えるためには、ほんの少しでいいので、自分が苦手だと思うことを行動してみてください。
強制ではありません。やりたいと思ったら、やってみようかな~程度がいいでしょう。
他人にとってはさもないことだと言われても、「自分にとってどうか?」を大事にしてくださいね。抵抗があることのハードルを低くして、行動に移してみるといいんじゃないかな。
行動しないと、何も変わりません。何度もしつこいですが、依存症克服のための行動は今までとはほんの少し違う行動で十分です。
*注意
「引き寄せの法則」のように、「願えば叶う」ことはありません。偶然は起きるかもしれませんが、単なる偶然に意味を持たせることを続けていると、そのプロセスが新たな(しかも重度な)依存になってしまいますね。今までとは違う行動をしない限り変化は起きないのです。行動は、Youtubeに映っている人が「あっ、動いた」と見えるように、必ず“動き”がともないます。頭の中で考えたり願ったりしているのは、行動ではありません。
③自分を受け入れる
自己否定型だった私が、自分を受け入れて、自信をつけることができたことが一番大きな変化でした。
自己受容。自己愛。自分を好きになる。
カウンセリング関連のネットや本でよく目にする言葉ですね。
これって人が変容するときの肝なのですが、その感覚を持つのは、かなり難しくないですか?「私の人生、そこそこやっていけるんじゃないかなぁ~」程度で良いのですが、それも感じとるのは難しいでしょう。
私がよくお伝えするのは、「ならなきゃならない自分をやめる」でしょうか。う~ん、これは「この地点まで目指そう!」的なコーチングやカウンセリングとは対極にありますね。
私のカウンセリング哲学は、「変わることをやめたときに変わる」という変容の逆説的な理論です。
つまり、今の自分を丸ごと受け入れることが自己受容。「とてもじゃないけど、こんな自分は受け入れられない」と思ったら、その考えを「ああ、今の私はそう考えているんだなぁ…」と自分の気持ちや考えをキャッチする。それができて初めて、自分をなんとなく好きになっていけるのですよ。
*変容の逆説的な理論(A・バイザー)
「人は、自分でない者になろうとする ときではなく、ありのままの自分になるときに変容が起こる」
今の自分を否定して別の自分になろうと努力しても、なりたい自分になろうと努力しても、その自分にはなれない。なりたい自分ではなくて、今のありのままの自分をまずはきっちりと十分に体験しよう。それを体験すれば、自然にそこから抜け出せる。という理論。
この感覚は、カウンセリング途中で「わかった!」と感じる方が多いです。言葉でうまく表現できなくてすみません。
④自分の力で前に進みたい気持ち
ミカさんから離れることは寂しいし、不安ももちろんありますが、ミカさんに喜んでもらえることは、自分一人で前に進むことだと思っています。
一番大事なことです。
私から離れていくことを前提に、カウンセリングに取り組む。この方は、その意識がおありでした。私からもできるだけ早い段階で「ずっと私に依存することはできないですよ」と伝えるようにしました。
カウンセラーは因果な仕事で、クライエントが回復すると仕事は終了です。反対に、相手にどっぷりと依存させれば、生活は安定するのです。
でも、それでは意味がないと私は思っています。誰にとって意味がないか…。もちろん「クライエントにとって」です。依存克服目的が、カウンセラーだけに依存する状態になったとしたら、本末転倒ですよね。ほどよい依存がベストでしょう。
また、私にとっても意味がなくなります。自分らしくないやり方で依存を増長させるようなカウンセリングを進めていくと、カウンセラーという仕事を誇りに思えなくなってしまうでしょう。
そのためにも、カウンセリングの頻度はクライエントと決めていきます。カウンセリングが初めてで不安な方は1回だけ試してみてみるのも良いですし、続けてみたい方には適切な回数のご提案もします。
でも決めるのはクライエント。ここが大事。
不思議なもので、週1回のカウンセリングが隔週となり、月1となり、私がそろそろ終了が近いかな…と感じ始めると、クライエントから「そろそろ一人で大丈夫です」といった言葉が出てくるのです。
人生のゴール
私が考えるクライエントのゴールは、その人がその人らしく生きていくこと。
子どもの頃には、その状況下でなんとかやっていくことが精いっぱいな事実から、大人になった今、かつての自分では選べなかった「YES」と「NO」を選ぶこと。
自分だけの幸せを見つけて、「これが自分らしさなんだ」と感じながら、日々を過ごしていくことだと思っています。
実はそのような生き方は、私の人生の目標でもあるんですよ。
カウンセリングは、「どんな療法が大事か」ではありません。
クライエントに伴奏するカウンセラーの信念や価値観、生き方などの在り方が、セラピー中のクライエントと共鳴し続ける。まるで化学反応が起こっているように。それを私は変容と呼んでいます。
いただいたメールへの返信も載せて、この記事は終わりにします。ご紹介した女性に限らず、カウンセリングが終わりに近づいてくるたびに、何とも言えない気持ちになります。
クライエントが自分自身を取り戻したことに、ホッとしたような、寂しいような、またお会いしたいような……。
カウンセリングをしていると、クライエントの今この瞬間と、私の今この瞬間が出会い、何かが生まれて、お互いに心がつながっているような感覚を覚えます。
多くの場合、ほんの一瞬ではあるけれど、その瞬間、私はともに生きているなぁ…と幸せな気持ちになるのです。
返信
いただいた直後から何度も読み返し、Hさんとの道のりを思い返していました。
それはいつもHさんとの楽しい時間であり、私自身がどう人と関わっていきたいか、私がどう在りたいか、どう生きたいかの確認時間でもありました。
電話でもお話ししたように、クライアントさんが変化していくということは、私から離れることを意味します。
聡明なHさんの声をお聞きできないのはとても淋しいことですが、この空の下で元気に過ごしていらっしゃる姿を想像し、Hさんの幸せを心の中で応援しています。
今までありがとうございました。
ミカ