こんにちは。心理カウンセラーのミカです。
今回は、恋愛依存症のご相談で、クライアントさんたちが「回復した」と自覚するのはどんな状態かを、私の視点でお伝えします。
もしかして自分は恋愛依存症かもしれないと思う方、恋愛依存症の自覚があり回復したいと思う方、カウンセリングに興味がある方にお勧めの内容です。
自分でコントロールできるようになる
コントロールできる!!!
恋愛依存症の回復は、この一言にすべてが集約されているんじゃないでしょうか。
何をコントロールするかというと、
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① 意思表示のコントロール
② 気分のコントロール
③ 人間関係のコントロール
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他にも、お金のコントロールや行動のコントロールなどもありますが、上記の代表的な3つのコントロールをみていきましょう。
①意思表示のコントロール
嫌なことは「イヤだ」と、不安にならずに相手に言えるようになる。
「NO」がお互いの関係をぶち壊すものではないと思えるからこそ、言えるんですよね。
つまり「NO」は、ふたりの関係がより自由で、柔軟性があって、よりいっそう楽しいものになると思えるような言葉。ちょっと勇気がいるけれど、思ってもいない「YES」を口にしてしぶしぶ相手にあわせるよりも、よっぽどステキな態度。
……と、今の私は思えますが、かつての私は違いましたね~。
パートナーと会う予定があっても、体調不良で気が乗らないときってあるじゃないですか。Bestな自分を見せられない、みたいな。でも「今日は会いたくない」なんて断ったら「次はない!」と思っていたから、すべてを犠牲にしても会うことを第一に考えていたんですよ。
今は、自分の感覚を第一に考えています。
自分優先なんて、わがままだと思う方もいるでしょう。その感覚はわかりますが、いつも相手にあわせていたら長く続く恋愛はできませんよね。
自分優先ではあるけれど、相手が望んでいることも聞いて、お互いにすり合わせる。
それができれば、自分が楽しくて、相手もいい感じでいられるんじゃないでしょうか。
「いやいやミカさん、NOが何よりも難しいんですっ!」と思う方は
★どんなときに特に難しいと感じるのか
★そう感じるときに何が頭をよぎるのか
★どんなふうにNOと言えない感じになるのか
などを探っていくと良いですよ。カウンセリングでもお聴きすることがあります。
■NOへの抵抗■
実は、クライアントさんたちも、「NO」に不安や抵抗を抱く方が多いです。
あなたはどうですか?
「NO」を言ったら不安になる、二人の関係が終わってしまうと思う、相手の人格を否定してしまう気がする、もしくは相手が怒ったり不機嫌になったり攻撃的になったりするので、それを避けたい気持ちがわき上がるかもしれません。
「それはやめてほしい」
「気が乗らないからやりたくない」
「今は疲れているからまた今度ね」
これらの言葉って、相手の人格を否定するものではなくて、
「ふたりの考えや状況は違うね」
といった相互理解の言葉。だから、「NO」は自分を肯定するもの。しかも、「あなたも断っていいんだよ」「あなたはどう思うの?」といったメッセージも含まれていると思いませんか?
そう……、「NO」っていいな~と、書きながらしみじみと実感しちゃいました。
「今回はダメだけど、○○はどう?」
と違う日程や案を伝えて、自分が一番楽しくていい状態で会えたら最高じゃないですか。
②気分のコントロール
落ち込むことはあるけれど、自分の力で、もしくは友人や知り合いの力を借りて、落ち込みマックスの状態から、「まぁ悩むこともあるよね」と気楽に考えられるようになる。
「あぁ…また落ち込みそうだ……」とか、「なんとな~く変だな~」と感じるときに、そのキッカケがわかっていたり、察知する力がついていたり、自分で調整できると思えること。
自分である程度コントロールできれば、落ち込んでも這い上がれます。しかも、相手に依存的にならなくてすみます。
人への依存だけでなく、お酒や食べ物、ゲームなどの場合も極端ではなくなるでしょう。
③人間関係のコントロール
他人から嫌なことを言われたときに「自分が悪いんじゃないか……」と思うことがなくなり、冷静に状況をとらえることができる。
すると自分は何も悪くはないし、何もやっていないのに理不尽な扱いを他人から受けたと思え、そんな相手ならつきあわなくてもいいやと思える。
そうそう、カウンセリングを開始して変化が進むにつれて、自分を取り巻く人間関係が変わり、孤独を感じる方が少なくありません。
大丈夫です。安心してください。
本当に自分がつながりたい人がわかり、それまでの関係に終止符を打つことで、しばらくは一人ぼっちになったような気がしますが、半年~1年経つと心から楽しめるパートナーや友人に出会えますよ。100%保証はできませんが、そうなる方が多いです。
恋愛に依存したくなるときは、自分と相手が同じ世界を共有して、まるで自分自身の延長が相手だと思うので、「相手とつながれない……」とほんの少しでも感じると、世界が崩れ落ちるような感覚になってしまいますね。
相手が自分の延長だと思う状態は、赤ちゃんとお母さん(お父さん)の関係だけ。子どもは成長するにつれ、徐々に母親(または父親)から離れていくことを習得していきます。
お母さん(お父さん)から離れるためには、「自分は一人でいても大丈夫なんだ」「怖いことがあったら、きっとお母さん(お父さん)が助けてくれる」と思えるからこそ離れられるのですが、親とのつながりを十分に感じなれない子どもは、ずっと親の愛情を探し続けます。
そのままの状態で子どもが大人になっていったらどうなるでしょう。
おそらく愛情を求めて、心がさまよい続ける大人になり、心の欠乏感を埋めてくれるものに依存するでしょう。
恋愛依存症は、「愛情を求め続ける子どもの愛情飢餓によるもの」とも言われているんですよ。
このあたりは、岡田尊司先生の著書『愛着障害』『愛着障害の克服』が参考になると思います。
ちなみに、大人になってから新たに親から愛情を満たしてもらうのは難しく、そのかわりとして、恋愛相手に赤ちゃんのようなすべてを満たしてほしい愛情を求めると、相手は苦しくなり離れていきます。
なぜなら、一人一人は違う人間ですから、同じことを体験し、同じ感情を抱き、同じ考えを持ち行動するなど、現実的ではないからです。
また、相手の方も愛情飢餓で恋愛に依存している場合は、両者でがっちりとスクラムを組んで離れられない状態になります。「共依存」ですね。
それはそれで、相手の借金や生活などの責任を負ってしまうので、離れたいと思っても離れられない負のスパイラルへと突入します。
責任の所在があいまいになっているのです。相手の責任は相手に戻して、自分の責任は自分で負う。基本のことですが、共依存の方にとっては違和感ありまくりでしょう(経験者は語る)笑
相手との信頼関係を持ちたいのに、それができないと思う方には、まず自分自身との信頼関係を結ぶ練習がいいですよ。
「え~、それって一体どうやるの?」と思う方は、HPにコメントしてください。説明は難しいのですが、できるだけわかりやすいように解説します。
恋愛依存症に悩む方のカウンセリングでは、初回に自分との信頼関係を結ぶ方法をお伝えしていますが、その場でピンとくる方は変化も早いです。
自分にスポットライトをあてる
先日、1年ぶりに当ルームへ来てくださった方がおっしゃった言葉。「今は、自分にスポットライトをあてています!」
おぉ~!話し方も雰囲気も、別人のようでした。
自分が人生の主人公になったんですね。
その方が初めてお見えになったとき、うなだれて目がうつろで、私の胸が苦しくなったことを今でも覚えています。毎回のカウンセリングでお話を聴かせていただきながら、ときには「NO」を言う練習をしたのもいい思い出となりました。
カウンセリングで急に変化することはありません(キッパリ!)
「誰でも」「簡単に」「かならず変われる!」みたいなカウンセリングがあったら気をつけてね。それ、嘘ですから。情報商材の詐欺案件と同じ。そういうのに限って、1回数時間で5万円とか8万円とかするんですよね。高~っ!
1度で変わったら、古今東西、本人も悩み多き人だったフロイトから始まって、今日の心理学に至るまで、研究に研究を重ねていること自体あり得ないと思いません?
本物のカウンセリングって、とても地味ですよ。変化も急には起こりません。
といっても、カウンセラーがクライアントの話を「そうなんですね~」と聴いているだけでも変容は起こらないです。
カウンセラーが一人の人間として、クライアントの語りを聴かせていただき、一緒の世界に居させてもらう。そうすれば、クライアントは自ら気づき変化していきます。それがプロってもんじゃないでしょうか。
カウンセリングは、クライアントが妊婦さんでカウンセラーがお産婆さん(古いたとえですが)だと言われています。クライアントの変化が起きるまで(赤ちゃんが産まれるまで)、カウンセラーが慌てずに、でもきっと変化する(産まれる)だろうとククライアントを信じて、辛抱強く待っているのです。
カウンセリング中、クライアントが変化する片鱗を私は感じます。その人の中に変化の兆しが「原石のダイヤモンド」のように埋もれているんですよ。光り方はそれぞれですし、大きさもまちまち。その個別性が、まさに「その人らしさ」なんですよね。
クライアントが変化するとき、その人がもともと持ち合わせていたものがゆっくりと、でも着実に開花していくような感覚を抱きます。カウンセリングの仕事をしていてよかったと心から思えるのが、この瞬間です。
あなたは、四方八方からピッカ~ッとスポットライトがあたる大女優にならなくてもいいんです。
光があれば影があります。
ライトがあたったり、あたらなかったりすることもあるでしょう。
でもそこには、あなただけの世界がきっとあるはず。
いつも明るくて注目を浴びている人はかえって不自然です。ひっそりとした感じの方もいますし、落ち着いた雰囲気の人もいるでしょう。時には、周囲をホッとさせるようなはにかんだ笑顔を見せることもあるかもしれませんね。
とにかく、あなたらしくいることがなによりも大事。
私が応援したいのは、世界でたった一つのあなたらしさなんですよ。
まとめ
恋愛依存症の回復は、恋愛がいつもうまくいって、依存にまつわる出来事が何も起こらない状態ではありません。
生きていれば気持ちの浮き沈みは当然ありますし、何かに依存したくなることもゼロにはならないでしょう。
でも、
恋愛がすべてだと思ったり、パートナーがいなければ自分は価値のない人間だと卑下したり、相手の世界にずっといたくなるようなせっぱ詰まった感覚が薄らいでくる。
0か100思考でなくなったとき、つまりそれまでの極端な考え方が60とか30などの状態を、具体的に想像できると思ったときが回復といえるでしょう。
少しずつ自力で、または周囲の力を借りて何とかできるようになることが一番大事ですね。周囲に適切に頼れるのも、依存症回復の兆しです。
今回は、恋愛依存症における回復について書きました。あなたの参考になればうれしいです。
カウンセリングおける変化と回復
参考までに、カウンセリングで変化をしていく過程を記しておきます。
初めてカウンセリングを開始してから
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①自分と信頼関係を結び始める
②特定の場面においては、自分でコントロールすることができるようになる
③人間関係が変化しはじめる
④次回のカウンセリングまでの間が空いてくる(カウンセリングの回数や頻度は毎回クライアントとカウンセラー双方で話し合って決めます)
⑤クライアント自身がそろそろ終わりに近づいている気がする
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こうなると、回復です。
それでは、またお会いしましょう。
See you!
ミカ